『災いの古書』読みました。
『災いの古書』ジョン・ダニング 横山啓明訳 ハヤカワ文庫 978-4-15-170409-3 2007.7.25初版
交通事故で寝ている間に読んだ本の一冊だが、頭がぼやけていたせいか、それほど強い印象は受けなかった。今回の主役は著者のサイン入り本で、日本のコレクターに比べて、アメリカのコレクターはサイン入り本にこだわりを持っているようだ。日本の場合、値の張る特に和古書の世界ではサイン入りという概念自体が成り立たない。
今回の事件は、主人公クリフの恋人、エリンの親友で、エリンの昔の恋人ロバートを奪って結婚したローラが、ロバート殺しの嫌疑を掛けられ、エリンに弁護を依頼してきたことから始まる。ロバートがサイン入り古書の収集家だったところからクリフの活躍が始まるのだが、典型的なアメリカ保守派の憎まれ役の保安官代理や、牧師と呼ばれる怪しげな古書業者などが現れ、キャラクターの魅力はある。
アメリカの古書フェアの描写があったのも面白かった。規模にもよるようだが、出店料4000ドルらしい。その場で600ドルの本が6000ドルに化けていく様子など、日本の市とは一味違いそうだ。この古書展では一般入場が午後四時で、業者は朝の八時からブースを用意して業者同士の取引を始めている、そこで十倍の値がついたりするのだ。ここにあげられている書物は『ローラ殺人事件』で、映画の方が有名になり、書物は大変少ないらしい。映画とリンクするところなどもアメリカらしいと言えるだろう。こちらの殺人事件もローラの事件だから、洒落のようにこんな本を使ったのかもしれない。
ミステリーとしての出来はそれほどでもないが、寝たきりで読んでいると、むしょうに古書展に行きたくなる一冊だった。
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